みなさま、こんにちは。大阪市天王寺区の上本町わたなべクリニックです。
当院は、インターネット上の口コミによる名誉毀損について、民事訴訟では勝訴が確定し、刑事事件では投稿者が起訴され、有罪判決が確定しています。
名誉毀損で有罪となれば、罰金刑であっても前科となり、仕事や資格に影響することがあります。
先日のブログでは、2026年10月1日に始まったカスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化についてお伝えしました。口コミサイトやSNSでの誹謗中傷も、カスハラの対象です。今回は、当院の裁判の結果とあわせて、意外と知られていない名誉毀損のルールをお伝えします。
目次
- 上本町わたなべクリニックの名誉毀損裁判の結果
- 本当のことを書いても、名誉毀損になりますか?
- 事実を書かない悪口でも、罪になりますか?
- 国も、ネット上の誹謗中傷への対策を強めています
- 匿名の口コミでも、投稿者は特定されますか?
- 名誉毀損で有罪になると、仕事や資格に影響しますか?
- 当院が口コミの内容に個別にお答えしない理由
- まとめ
1. 上本町わたなべクリニックの名誉毀損裁判の結果
当院は、口コミによる名誉毀損について、民事訴訟と刑事事件の両方で結果が確定しています。
【当院のこれまでの裁判の結果】
- 民事訴訟:口コミの投稿者を特定し、損害賠償を求めて提訴しました。投稿者は最高裁判所まで争いましたが、当院の勝訴が確定しています。
- 刑事事件:当院の刑事告訴により、口コミの投稿者が起訴され、有罪判決が確定しています。
※現時点では、事件の詳細は公表しておりません。
当院の方針は、「カスハラに対する当院の基本方針」のページでご案内しています。
2章からは、当院の事件とは別に、口コミやSNSへの書き込みに関する一般的な法律の仕組みをご説明します。
2. 本当のことを書いても、名誉毀損になりますか?
はい。名誉毀損は、書いた内容が事実であっても成立します。
刑法第230条では、人の社会的評価を下げる事実を、不特定または多数の人が知ることのできる状態で示した場合、その事実が本当かどうかにかかわらず罰すると定められています。民事上の損害賠償でも、同じ考え方がとられています。
刑事・民事とも、責任を問われないのは、公共の利害に関する事実を、もっぱら公益を図る目的で示し、しかも真実であることが証明された場合などに限られます。個人的な不満や腹いせを目的とした投稿は、「もっぱら公益を図る目的」とは認められにくくなります。
投稿者ご本人が正しいと信じている内容であっても、医学的に誤った内容でクリニックの評価を下げる投稿は、名誉毀損にあたる場合があります。
3. 事実を書かない悪口でも、罪になりますか?
はい。事実を書かない悪口でも、侮辱罪(刑法第231条)にあたることがあります。
具体的な事実を書かず、「ヤブ医者」などと悪口を書いただけでも、公然と人を侮辱すれば、侮辱罪になります。侮辱罪の刑罰は、1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
4. 国も、ネット上の誹謗中傷への対策を強めています
ネット上の誹謗中傷が社会問題となる中、この数年で関係する法律が相次いで改正されています。
- 2022年7月 侮辱罪の厳罰化(刑法改正):刑罰に懲役・禁錮(現在の拘禁刑)と罰金が加わり、時効も1年から3年に延びました。
- 2022年10月 投稿者を特定する手続の一本化(改正プロバイダ責任制限法):新しい裁判手続(発信者情報開示命令)により、投稿者を特定しやすくなりました。
- 2025年4月 情報流通プラットフォーム対処法の施行:大規模なSNSなどの運営会社に、削除の申出への迅速な対応などが義務付けられました。
匿名の書き込みであっても、法律に基づいて責任を問われる時代になっています。
5. 匿名の口コミでも、投稿者は特定されますか?
はい。口コミサイトやSNSの投稿は匿名でも、投稿者を特定することができます。
当院の民事訴訟でも、投稿者を特定したうえで提訴しています。裁判になれば、投稿者は実名で当事者となります。裁判は、原則として公開の法廷で行われます。
6. 名誉毀損で有罪になると、仕事や資格に影響しますか?
はい。刑の重さやご職業によっては、影響することがあります。
名誉毀損罪の刑罰は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(刑法第230条)。罰金刑であっても、前科となります。主な影響は、次のとおりです。
- 公務員の方:拘禁刑以上の刑が確定すると、失職します。罰金刑でも、懲戒処分を受けることがあります。
- 公務員を目指している方:拘禁刑以上の刑の場合、刑の執行が終わるまで(執行猶予の場合は猶予期間が終わるまで)は、公務員になれません。
- 医師・看護師・薬剤師など、医療系の資格をお持ちの方:罰金刑でも、免許の取消しや業務停止などの処分を受けることがあります。
- 弁護士の方:罰金刑でも、弁護士会から業務停止や除名などの懲戒処分を受け、弁護士の仕事ができなくなることがあります。拘禁刑以上の刑が確定すると、弁護士の資格を失います。
- 教員の方:拘禁刑以上の刑が確定すると、教員免許が失効します。罰金刑でも、懲戒処分を受けることがあります。
- 会社員の方:勤務先の就業規則により、懲戒処分を受けることがあります。
これらは刑罰とは別に、ご本人の仕事や生活に長く影響します。
7. 当院が口コミの内容に個別にお答えしない理由
当院は、口コミに返信する場合も、書かれた個別の内容について、反論や説明をすることはありません。理由は次のとおりです。
- 医師には守秘義務があり(刑法第134条)、診療の内容を口コミの場で明らかにすることはできません。投稿者ご本人が診療の内容を書き込んでいる場合でも、同じです。
- 名誉毀損や侮辱にあたる投稿には、ネット上での言い合いではなく、投稿の削除を求めることや法的措置など、事案に応じた方法で対応しています。
法的措置の対象とする投稿は、当院が個別に判断しています。法的措置などの対応をとっていない投稿についても、その内容を当院が認めたものではありません。
8. まとめ
当院の裁判について
- 上本町わたなべクリニックは、口コミによる名誉毀損について、民事訴訟では勝訴が確定し、刑事事件では投稿者が起訴され、有罪判決が確定しています。
- 当院が法的措置などの対応をとっていない投稿についても、その内容を当院が認めたものではありません。
口コミ・SNSへの書き込みと法律(一般的な仕組み)
- 名誉毀損は、書いた内容が事実であっても成立します。
- 事実を書かない悪口でも、侮辱罪になることがあります。
- 匿名の口コミでも、投稿者は特定できます。
- 名誉毀損で有罪になると、罰金刑でも前科となり、仕事や資格に影響することがあります。
ほとんどの患者様には、良好な関係のもとで通院いただいております。すべての患者様と職員が安心できるクリニックであるために、ご理解とご協力をお願いいたします。
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執筆:上本町わたなべクリニック 院長 渡邊章範(医師)
上本町わたなべクリニック
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TEL:06-6772-0075


