食道がんとは
症状
初期症状は、分かりにくい事が多いです。つまり無症状の事が多いです。
よくある症状としては、
①食道がしみる感じ
②食物がつかえる感じ
③体重減少
④胸痛
⑤背部痛
⑥咳
⑦声のかすれ
などがあげられます。
危険因子
食道がんは、
①喫煙
②飲酒
③熱いもの飲食
④辛いものの飲食
が原因とされています。
疫学
食道がんなりやすい人は、
①40歳代後半以降増加する。
②男性は女性の5倍以上なりやすい。
③日本人は、他の東アジアの中でもなりやすい傾向がある。
④年間1万人ほどが食道がんになるといわれている。胃がんが、10万人のため1割の割合である。
食道の構造
長さ25cmで、粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜の4層構造になっている。食道がんの90%以上が扁平上皮癌で、食道の真ん中から発生することが50%で1番多い。
初期の検査
採血や内視鏡検査を行います。
術前検査
CT・MRI・エコー・食道エコー・PETなど
ステージ分類
食道がんの進行度合いを示すものです。
日本食道学会「食道癌取扱い規約」に基づく進行度分類
0期
がんが粘膜にとどまっており、リンパ節、他の臓器、胸膜、腹膜(体腔の内面をおおう膜)にがんが認められないものです。いわゆる早期がん、初期がんと呼ばれているがんです。
Ⅰ期
がんが粘膜にとどまっているが近くのリンパ節に転移があるものか、粘膜下層まで浸潤しているがリンパ節や他の臓器、さらに胸膜・腹膜にがんが認められないもの。
Ⅱ期
がんが筋層を越えて食道の壁の外にわずかにがんが出ていると判断されたとき、あるいは食道のがん病巣のごく近傍に位置するリンパ節のみにがんがあると判断されたとき、そして臓器や胸膜・腹膜にがんが認められなければⅡ期に分類されます。
Ⅲ期
がんが食道の外に明らかに出ていると判断されたとき、食道壁に沿っているリンパ節か、あるいは食道のがんから少し離れたリンパ節にがんがあると判断され、他の臓器や胸膜・腹膜にがんが認められなければⅢ期と分類します。
Ⅳ期
がんが食道周囲の臓器に及んでいるか、がんから遠く離れたリンパ節にがんがあると判断されたとき、あるいは他の臓器や胸膜・腹膜にがんが認められるとⅣ期と分類されます。
治療
初期の場合、内視鏡手術で取ることも可能です。一般的には、食道がんの進行の程度や転移などを判断してから、開腹術を行うことが一般的です。
放射線療法・抗がん剤療法は、一般的には効かないことが多いです。ただし、がんのタイプによります。
予後
一般的に食道がんは、悪性度が高く予後が悪い病気です。ただし、0期で内視鏡的粘膜切除術で切除された後の5年生存率は100%です。
0期で内視鏡的粘膜切除術
100%【5年生存率】
粘膜にとどまる開腹手術
切除できればほぼ100%【5年生存率】
がんが粘膜下層でリンパ節転移なし
開腹手術で80%【5年生存率】
日本食道疾患研究会の「全国食道がん登録調査報告」では、手術で取りきれた場合の5年生存率は、ほぼ54%に達しました。
国立がんセンター中央病院での5年生存率(1996年~2000年)
国立がんセンター中央病院で1996年~2000年に手術を受けた方の5年生存率は、TNM分類による進行度Ⅰ期:70.1%、進行度ⅡA期:48.4%、進行度ⅡB期:55.8%、進行度Ⅲ期:26.3%、進行度Ⅳ期:20.3%でした。
(食道がん以外の原因で死亡した場合も含みます。)