ヒートショックとは
最近冬場になると良く聞く言葉にヒートショックがあります。これは、医学用語ではなく、建築業者から、家の設計において、部屋やトイレや浴室の温度差を無くすことで、温度差による病気=主に心臓病や脳卒中を防ぐところからできた言葉です。ちなみに医学生理学的には、ヒートショックとは、培養細胞などを温度を上げたりすると、細胞が熱から防御するためにヒートショックたんぱく質ができる現象のことを言います。人間や動物の体にもヒートショックたんぱく質は、細胞を守ったり、そして、進化にかかわる有用な役割(種の多様性)を果たしています。
最近では、医療現場でも、主に冬場の温度変化による血圧変動などによる心臓病・脳卒中予防のために、部屋の温度を一定にしたり、服装などで体の温度を保つ方法として、ヒートショックという言葉を使われるようになってきました。
温度が一定でないとどうなる?
血圧や脈拍の乱れにつながります。暖かいと血管が拡張して血圧が下がり、寒いと血管が収縮して血圧が上がる。温度変化が急激であると、血圧の変動により心臓に負担がかかり、心臓病や脳卒中になり突然死の原因となる。
どんな時や場所でになる?
お風呂に入るトイに寒い廊下を通り寒い脱衣所で服を脱ぐと、寒さから血圧が上昇します。寒いお風呂場に入った頃に血圧がピークとなり、脳出血になってしまうこともあります。そして、湯船につかるとお湯の温度で血管が拡張したときに血圧が急に下がり、脳梗塞や心筋梗塞の危険がまします。そして、お風呂上りには、ふらつきや転倒などを多し易くなります。
どれぐらいの人がヒートショックで死亡するの?
2011年では、年間17,000人と推定されています。交通事故でなくなる方が、年間5,000人程度と比べても3倍以上多い数字です。
ヒートショックを起こしやすい人
高齢者・高血圧患者・糖尿病患者・脂質異常症患者・心筋梗塞の既往歴・脳卒中の既往歴・一番風呂が好きな人・熱いお湯が好きな人・アルコールを飲んでいる人
対策
①お風呂場やトイレの温度を暖かくする。簡易暖房機の設置や服装での対応。風呂場全体にお湯でシャワーをしておくことも有効。
②新聞を取りに庭に出るときは、マフラーをして頚動脈からの熱の放出を防ぎ血圧上昇を予防する。
③高血圧の人は、適切な治療と塩分対策も。厚生労働省のH26年の発表では、男性は14g、女性は11.8gとっているとされています。10以下の減塩が望ましいとされます。高血圧患者の場合6g以下が望ましいとされています。