脳出血の最大の要因は高血圧です。
脳出血とは
脳出血は、脳実質内に出血し、脳内に血腫ができることにより、脳が麻痺や壊死をする事により起こる病気です。脳の外に出血するくも膜下出血とは異なります。
脳出血は、出血部位により
①被殻出血 ②視床出血 ③脳幹出血 ④小脳出血 ⑤大脳皮質出血
に分類されます。
割合は、①40%、②30%、③10%、④10%、⑤10%ぐらいとされています。
脳出血は、いずれも意識障害が起こります。また、ほとんどの場合片麻痺を起こしますが、脳幹出血の場合、四肢麻痺(左右両方におこる麻痺)が起こることがあり、特徴といえます。
発症年齢
血圧が悪化する50代から起こりやすいとされています。まれに30歳代でも小さな動脈の破裂による脳出血をおこすことがあります。
脳幹出血
脳幹とは、橋・延髄・中脳・間脳からなる部分です。呼吸中枢や体温調節中枢などがあります。ちょうど脳の一番奥の部分にあたります。脳出血のうち10%ぐらいを占め、ほとんどは、橋(きょう)と呼ばれる部分の出血が多いとされます。原因は、高血圧がほとんどで、場所的にも手術適応が無く、人工呼吸器による呼吸管理、抗圧薬による血圧の管理などで安静を保ち、出血部位の吸収を待ちます。
脳幹についての基礎知識
脳幹は、爬虫類の脳とも言われます。かなり古い説ですが、生理学者のポール・マクリーン(1913~2007)が脳の三層構造説という説を出しました。
1. 爬虫類脳
呼吸や体温調整・心拍や血圧といった生命維持の基本的な機能を担う部位を差しています。種の保存と自己保存に必要な脳の部位を差してこのように命名しました。今で言う、脳幹と大脳基底核等で行われている機能です。
2. 旧哺乳類脳
本能的な感情や原始的な防衛本能を担う部位をさしています。種の保存のための社会行動や母性本能などもここで行われているとしています。今で言う大脳辺縁系とよばれる海馬や帯状回・扁桃体等で行われている機能です。
3. 新哺乳類脳
言語中枢や記憶中枢・想像力などの高次な機能を担う部分を指します。今で言う大脳新皮質が大脳辺縁系や脳幹・大脳基底核と共同して行われている機能です。
被殻出血
脳の外側の部分の出血のため、外側出血と言われたりもします。
視床出血
脳の内側の部分の出血のため、内側出血と言われたりもします。高齢化とともに割合が増えています。
小脳出血
小脳は平衡感覚を担うため、吐き気やめまいを伴うことが多い出血です。場合によっては、手術適応があります。
大脳皮質出血
大脳皮質内での出血です。大脳皮質の場所は脳の外側にあります。場合によっては、手術適応があります。