日本で初めて医師が書いた一般書
「その痛みやモヤモヤは『気象病』が原因だった」院長 渡邊章範著
「雨の日は古傷が痛む」という話は昔からありますが、これは気のせいではなく「気象病」によるものだということが、近年明らかになってきました。
気象病には、関節痛や耳鳴りなどのほか、不整脈、高血圧、脳卒中など深刻なものもあります。
そのメカニズムには気温や湿度も影響を与えますが、とりわけ大きな要因となるのが気圧です。
エレベーターで高層階まで上がると耳がキーンとなった経験はありませんか?高所では気圧が下がり、耳の中から外へ向かう空気の力が強くなるため、耳の中が膨張してこのような症状が起こるのです。
実は関節、リンパ、血管などでも同じような現象が起きており、自律神経もバランスを崩し、さまざまな不調が表れると考えられています。気圧の変化が大きい台風のシーズンは特に気を付けたいところです。
頭痛・動悸・めまいなど原因不明の症状に悩まされているのは気象病(きしょうびょう)かもしれません。
気象病(別名、お天気病)とは、気温や気圧、湿度の急変など、気象の変化によって引き起こされる病気の総称。
別名「お天気病」とも呼ばれています。
気象病の主な疾患
☑頭痛 ☑脳出血 ☑気管支ぜんそく ☑心筋梗塞 ☑心筋症 ☑リウマチ ☑関節痛 ☑神経痛 ☑うつ病 ☑不眠 ☑倦怠感 ☑夫婦げんか
気象病の原因
1:自律神経への影響
2:身体へのストレス
3:前線や低気圧の接近による減圧 ※気圧低下により血管の透過性や炎症反応が強くなる
前日から最高気温が5度以上低下すると注意が必要です。
気象病の起こる6つのメカニズム
温度の低下
頭痛、脳出血、心筋梗塞、心筋症などは、温度低下により血圧が不安定になったり上昇することで起こりやすくなります。特に40代以降の年齢の人で、途端に寒くなると、例えば血圧が130から急に160へ上がることもありえます。
気圧の低下①
気圧が低下すると、体にかかる圧力が低下する→血管にかかる圧力が低下する→血液中の水分が細胞に移行してむくみのような状態になる→そこに痛み物質であるヒスタミン・ブラジキニンや炎症物質のプロスタグランジンなどの濃度が上がる→関節痛や神経痛、リウマチの悪化
気圧の低下②
気圧が低下すると、体にかかる圧力が低下する→気管支にかかる圧力が低下する→気管支が狭くなる→喘息の悪化
気圧の低下③
気圧が低下すると、体にかかる圧力が低下する→副鼻腔にかかる圧力が低下する→頭痛
気圧の変化
自律神経系の乱れにより集中力不足、気分の落ち込みが起こる。
気候の変化
温度や気圧、天候の変化により、神経症やうつ病の悪化することもあります。いつもよりイライラすることで、普段は仲が良い夫婦が些細なことで喧嘩することも。よくよく調べてみると、男性は血圧の変動によるイライラで、女性は更年期障害の症状の悪化で喧嘩してしまうことも。
病気予想図と前線の関係
広島県医師会のHPでは、お天気をもとにして心筋梗塞・脳卒中の危険度の予報がされています。主に寒暖の差に注目した予想です。ドイツの天気予想で放送されている気象病の病気予想図では、前線通過で予想される疾患は、
寒冷前線が通るとき:☑高血圧症 ☑狭心症 ☑リウマチ ☑関節炎 ☑ぜんそく ☑腹痛が予想されており、
温暖前線が通るとき:☑低血圧症 ☑血栓症 ☑心臓不調 ☑頭痛 ☑集中力不足 ☑気分の落ち込みが予想されております。
温暖前線
気圧が下がることによる、☑低血圧症 ☑血栓症 ☑心臓不調 ☑頭痛 ☑集中力不足 ☑気分の落ち込みなど。
寒冷前線
気圧の低下と温度の低下や雨の影響による、☑高血圧症 ☑狭心症 ☑リウマチ ☑関節炎 ☑ぜんそく ☑腹痛など。
気象病の予防・対策
・水分や塩分の摂りすぎに注意
・湯船につかり自律神経を整える
・ストレッチで血行改善
・締め付けない厚手の衣類を着る
古傷が痛むという言葉があるように、天候の変化により体の弱い部分の症状が起こることが多いとされています。
気象病の予防法としては、・リラックス・ストレッチ・一息いれるなどがお勧めです。
気象病のメカニズム
(季節の変化の起こる春と夏の場合)
移動性高気圧が来る⇒夜は放射冷却で温度が下がる⇒一方昼間は、青空の中、逆転層というガラスのふたのようなものができる⇒そこに強い日差しがさすことで地上の温度が上昇する⇒寒暖差ができる⇒最高気温と最低気温の差が10度以上ある時は体調が崩れやすいので注意が必要です。
気象病のメカニズム
(台風の時期、低気圧の通過)
低気圧の通過により、気圧・温度・湿度(雨)の変化が起こります。
体にかかる気圧が下がることで頭痛や喘息の悪化、むくみなどの症状が出やすくなります。
渡邊院長による
気象病対策のアドバイス
①少し休憩を取る
②ストレッチ
③湯船につかる
④3回深呼吸
⑤水を一杯飲む