このような方たちが通院されております
- 健康診断などで初めて高血圧と診断された方
- しばらく薬を飲んでいたがやめてしまって時間が経っているが血圧が高く心配な方
- 遺伝的に高血圧の家系の方
- 血圧の薬を飲んでも下がらない方
- 20代30代なのに血圧が高いと言われた方
- 血圧の変動があり安定しない方
- 血圧の薬が多く心配な方
- 血圧が下がりすぎて心配な方
- 脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)や心筋梗塞、狭心症などを起こした方
- 身内の方が高血圧や心筋梗塞・脳梗塞などで心配な方
- 引っ越しで血圧専門の病院が見つからない方
- コレステロールや中性脂肪、血糖値、尿酸値が高いと言われた方
- スポーツジムなどで血圧を測ったら高かった方
- 妊娠中に血圧が上がってきた方
高血圧治療ガイドライン
成人における血圧値の分類表
分類 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | ||
正 常 域 血 圧 | 至適血圧 | <120 | かつ | <80 |
正常血圧 | 120-129 | かつ/または | 80-84 | |
正常高値血圧 | 130-139 | かつ/または | 85-89 |
分類 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | ||
高 血 圧 | I 度高血圧 | 140-159 | かつ/または | 90-99 |
II 度高血圧 | 160-179 | かつ/または | 100-109 | |
III 度高血圧 | ≧180 | かつ/または | ≧ 110 | |
(孤立性) 収縮期高血圧 | ≧140 | かつ | < 90 |
診察室血圧より家庭血圧を優先
家庭血圧は1機会2回測定の平均で
JSH2014では、JSH2009に引き続き、家庭血圧と自由行動下血圧の有用性が強調されています。とくに家庭血圧については、原則として1機会に2回測定を行い、その平均値を用いるという指針が明記されました。また、診察室血圧と家庭血圧の差がある場合は、より臨床的価値の高い家庭血圧による診断を優先するとするなど、家庭血圧の臨床応用性と診断能力をより高く評価しているという点で欧米のガイドラインとは異なります。
降圧目標は診察室血圧で140/90mmHg未満(合併症あり・後期高齢者を除く)
JSH2014の血圧分類では、診察室血圧で140/90mmHg以上を高血圧、140/90mmHg未満を正常域血圧と定義しました。正常域血圧はさらに至適血圧、正常血圧、正常高値血圧の3つに分類されます。若年者・中年者でも合併症のない人の降圧目標は、診察室血圧で140/90mmHg未満、家庭血圧で135/85mmHg未満とされました。
降圧薬の心血管イベント抑制効果は、降圧度に規定される
JSH2014では、JSH2009に引き続き『降圧薬の心血管病抑制効果の大部分は、 その種類よりも降圧度によって規定される』という大原則があらためて強調されています。したがって、個々の患者に対して、合併する種々の病態を考慮しながら、降圧効果の最も期待される降圧薬を選択し、降圧目標の達成を絶えず心がけることが推奨されました。
第一選択薬はCa拮抗薬,ARB,ACE阻害薬,利尿薬
JSH2014では、主要降圧薬としてCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬の5剤があげられていますが、積極的適応のない高血圧患者に対する「第一選択薬」としては、β遮断薬を除く4剤が推奨されました。β遮断薬は、積極的適応となる心不全、頻脈、狭心症、心筋梗塞後の患者で推奨される薬剤と位置付けられています。
降圧目標達成にむけ併用療法の積極的な導入を
JSH2014ではJSH2009に引き続き、単剤で十分な降圧効果が得られない場合には増量または併用投与を行い、病態によっては投与初期から少量の2剤併用も可能とするなど、適切な併用療法による降圧目標の達成を促す内容となっています。また、処方を単純化できる配合剤の使用によって、アドヒアランスが改善し、よりよい血圧コントロールにつながることが期待されます。
脳血管障害慢性期の中でもラクナ梗塞,抗血栓薬服用中、脳出血およびくも膜下出血の患者にはより積極的な降圧を
脳血管障害患者では、病期と臨床病型に応じて降圧治療対象や降圧目標、推奨される薬剤が異なります。慢性期では、病型を問わず140/90mmHg未満を目指した治療が推奨されますが、ラクナ梗塞、抗血栓薬服用中、脳出血およびくも膜下出血の患者では、可能であれば 130/80mmHg未満を目指すとされています。超急性期~急性期には積極的な降圧治療は行わないのが原則です。
冠動脈疾患のなかでも心血管イベントリスクの高い患者にはより積極的な降圧を
JSH2014では、心疾患合併高血圧患者に対し十分な降圧を行うことの重要性が示されています。冠動脈疾患における降圧目標は原則として140/90mmHg未満ですが、心筋梗塞後の患者や抗血栓薬服用中の患者、危険因子が集積し心血管病のリスクが高い患者では、可能であればさらに低い130/80mmHg未満を目指すべきとされています。心不全については、病態(収縮機能不全/拡張機能不全)に応じた治療が推奨されています。
CKD患者の治療のポイントは降圧目標達成と尿蛋白減少・正常化
慢性腎臓病(CKD)合併高血圧患者の降圧療法における重要なポイントは、(1)降圧目標の達成と、(2)尿蛋白(尿アルブミン)の減少・正常化です。したがって、臓器保護作用の期待されるレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬を中心とした積極的な治療が望まれます。JSH2014では、蛋白尿の有無により異なる降圧目標値を新たに設け、「無」では140/90mmHg未満、「有」では130/80mmHg未満への降圧を推奨しています。
糖尿病患者の降圧目標は130/80mmHg未満
JSH2014ではJSH2009に引き続き、糖尿病合併高血圧の降圧目標は130/80mmHg未満とされ、血糖管理とともに血圧の厳格な管理が重要であることが強調されています。治療の際には、まず生活習慣の修正とともに降圧薬治療を開始することが原則で、第一選択薬としてはレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬が推奨されています。
後期高齢者高血圧では慎重かつ緩徐に150/90mmHg未満へ
JSH2014における高齢者の降圧目標は、65~74歳では140/90mmHg未満、75歳以上では150/90mmHg未満(忍容性があれば積極的に140/90mmHg未満)とされました。JSH2009に引き続き、予後改善のために積極的な降圧が重要とされていますが、無症候性の合併症が多い、生理機能の個人差が大きいなど高齢者に特有の状況にも留意しながら、個々の状態や合併症に最も適した降圧治療を行う必要があります。