成人T細胞白血病とは
①HTLV‐1と呼ばれるレトロウイルスが人の白血球の中のT細胞に感染し、30年から60年の潜伏期間を過ぎて発症する。 発症は、ウイルスによる異常なT細胞の増殖によるもので、花細胞が特徴的な、がん化したATL細胞がみられるようになる。 潜伏期間が長いため、母子感染したとしても成人になってから発症するため、ATL(成人T細胞白血病)と呼ばれる。好発年齢は、40歳から60歳台である。 ただし、感染していても発症しない人が多い。感染者(キャリア)のうち年間発症率は、065%で、生涯発症率は、5%である。
②HTLV‐1の感染者(キャリア)は、日本では、九州(特に沖縄、鹿児島、宮崎、長崎は、5%で全国の3割を占める。)に多い。そのほかには、太平洋に面する僻地に多いとされる。これらの遺伝子は、縄文人の生き残りともいわれている。(弥生人により僻地に追い込まれた。)今では、その子孫が各地に移動して、他府県でも見られる。日本国内には、およそ110万人のキャリアがいるといわれている。
③HTLV‐1の感染経路は、母親からの母乳による母子感染・性交渉・輸血である。
④感染は、血液検査で検査できる。精密検査には、骨髄検査やリンパ節の生検を行う。
⑤治療法は、抗がん剤・造血幹細胞移植などである。ATLの90%は、CCR4抗原が陽性なことが多いため、分子標的薬のモガムリズマブが有効とされる。
⑥急性型・リンパ腫型・慢性型・くすぶり方の4つのタイプがあり、この順番で予後不良である。また、予後を決める5つの因子があり、LDH高値、Ca高値、40歳以上、全身状態不良、総病変数である。